予防接種はどうするか?
海外では日本ではならないような病気になることがあります。海外を旅している人がよく受けている予防接種は、「狂犬病」「黄熱」「A型肝炎」「破傷風」「腸チフス」などがあります。それぞれの病気については以下の通り。
☆狂犬病・・・日本では60年以上発生していませんが、世界中で発生しており年間35,000~50,000人が死んでいます。狂犬病という名前ですが、犬だけでなく猫やコウモリなど様々な野生生物から感染します。狂犬病ウイルスを持った野生生物に噛まれ、ウイルスが脳神経組織に到達すると発病し、発病したらほぼ100%死亡します。よだれをダラダラ垂らして目が血走っていてものすごく吠えてくる犬は狂犬病に侵されている可能性が高いので、見たら全力で逃げましょう。もしウイルスを持っていそうな動物に噛まれたらできるだけ早く病院に行きましょう。予め狂犬病の予防接種をしていても噛まれたら再度ワクチンが必要です。
☆黄熱・・・蚊を媒体として発症する感染症で、アフリカと南米の一部で発生します。野口英世によって研究されたことでも知られています。黄熱の予防接種を受けるとイエローカードというものが発行されます。このイエローカードがないと入国できない国もあるので注意しましょう。発症すると頭痛、発熱、悪心・嘔吐などの症状が出たあと3日くらいで1度楽になりますが、油断させておいて再度更なる症状を引き起こす恐ろしい病気です。ある有名なバックパッカー夫婦がアフリカでこの黄熱にかかり死亡したことも有名です。
☆A型肝炎・・・ウイルス性肝炎の一種で、全世界で感染する可能性がありますが、特に衛生環境の悪い発展途上国で蔓延しています。糞便に汚染された器具や手を経て感染する他、ウイルスに汚染された水や野菜、魚介類などを生や加熱不十分なまま食べることでも感染するので、屋台などで野菜・魚を食べる際は充分注意が必要です。発症すると発熱、下痢、腹痛、吐き気・嘔吐の症状が出て、肝機能が低下します。
☆破傷風・・・切り傷から破傷風菌が体内に入ることで感染します。主に発展途上国で発症していますが、日本でも死亡も含め年間数十人が発症しています。肩がこる、顔面がひきつる、歩行障害、全身けいれんなどを経て最悪の場合は呼吸困難で死亡します。死亡率は成人でも15%~60%と高く危険です。
☆腸チフス・・・チフス菌によって引き起こされる感染症の一種で、衛生状況の悪い発展途上国で主に発生します。感染源は汚染された水や食物で、A型肝炎同様に不衛生な屋台や食堂で食べる際には注意が必要です。
上記がざっとした病気の症状です。もっと詳しく知りたければネットで調べてみて下さい。
狂犬病に関しては予防接種を受けていても噛まれたら再度ワクチンを打つ必要があります。じゃあ前もって受ける必要ないじゃないかと思いますが、噛まれた後のワクチンを打つ回数が違うようです。前もって予防接種を受けている状態であれば、噛まれた後のワクチンは4週間で3回。前もって予防接種を受けていない場合は4週間で5回受ける必要があるようです。前もって予防接種を受ける場合も2回か3回は受けなければならないので、実際に噛まれてからワクチンを打つのでも同じような気もしますが、そこは自己判断です。
予防接種は日本ではなく海外でも受けられます。また、海外の方が安い場合も多くあります。狂犬病や黄熱は無料だったり数百円で受けられたりする国や地域もあるようなので、日本で受けるよりも大幅な節約になります。もっとも狂犬病なんかは2回か3回、期間を空けて打つ必要があるので数週間足止めをくらうことになります。お金を取るか時間を取るかで、日本で受けるか海外で受けるかが変わってくると思います。
ちなみに私は東京の日比谷クリニックで狂犬病、A型肝炎、破傷風、腸チフスの予防接種を受け、海外で黄熱の注射を打ちました。4年前のことで値段は忘れてしまいましたが、日比谷クリニックで受けた予防接種が総額40,000円くらい、黄熱が5,000円くらいだったと思います。日比谷クリニックの現在の予防接種の値段がホームページに載っていなかったので、参考に東京医科大学病院の予防接種の値段を載せておきます。多分に日比谷クリニックも同じくらいだと思います。他のも知りたい場合は東京医科大学病院のホームページを見て下さい。
- 黄熱・・・12,000円
- 狂犬病・・・12,000円(1回)
- A型肝炎・・・7,000円
- 破傷風・・・3,400円
- 腸チフス・・・8,800円
どれも結構高く、狂犬病は1回12,000円で2回か3回打つので24,000~36,000円くらいかかります。しかし海外旅行保険と同じく、起きてしまってからでは遅いので、お守り代わりに必要なものは受けておいた方が良いと個人的には思います。